パソコンの売り方の教育

マイツールの開発が進んでいる頃、「長谷川さんに、セールスに対してパソコンの売り方を教育してもらおう」 というような話も出ました。

特定業種に売り込む方法

特定業種にパソコン(SP200)を売ろうというような方針で、担当セールスを何名か作ったりしていたのですが、実績は殆ど出ていない状況でした。 彼らに長谷川さんの話を聞かせたわけです。 リコーのセールスのレベルはどうなのかを知りたかったので、これは我々にも役に立ちました。

彼らは先ず、特定業種に売り込む為にはどうしたら良いかを質問してきました。
「特定業種を知るにはどうしたら良いでしょうか。」
「各業種はだいたいなんとか協会とか連合会とかいうような団体を作っている。 そこに行って彼らの問題点とか聞いてみれば、ヒントが得られる。そういうところに いる人はだいたい暇なので教えてくれるよ。」
「そういう団体は何処にあるのですか。」
「図書館に行けば各種団体の載っている本があるはず。そこに場所も載ってる。 だいたい虎ノ門とかそのような場所にあるよ。」
「そこに行ってどんなふうに聞いたらいいでしょう。」
などというやり取りがなされました。
まったく、少しは自分で考えろよと言いたいところでした。

「買って下さい」が基本

「セールスがパソコンを売るというので、何か特別な事をしなくちゃと考えているみたいだ。 何から何まで知らなくちゃダメと思っている。 物を売るというのは何でも同じ。セールスが考えすぎている。

セールスは買って下さいというのが基本だ。 リコーのセールスはお客に説明しようと思っている。 お客より知っていなくちゃ売れないと思っている。 ピアノのセールスだって、音楽家のようにピアノを弾けなくても売っているではないか。

俺のところの車のセールスは買い替えようと思って車選んでいると、どこかで嗅ぎ付けて、『うちの車買って下さい。お願いします。買って下さい。』 と毎日のように頭下げに来て説明などしないんだけど、結局買わされちゃうんだよ。 買って下さいと言えないセールスが多すぎる。 セールスの基本から教えなくちゃ。」

というような事を長谷川さんはよく言ってました。

よく言ってたというのは文字どおりよく言ってたもので、長谷川さんは色々な事で結構同じ話をよくしたんですよ。 私なんかいつも大体一緒に居たから、「又同じ話だ」 なんて思った事も何度もあります。 でも誰かが何か言った事などを、次にあたかも自分が初めて言った事のように話すのも得意だったな。 何度か話すうち、それが長谷川さんが考えたように思えちゃうんだから、不思議だったけど。 本人も他の人が言ってた事だなどというのは全然頭からなくなっているんだけど。

お客に教えて貰う

マイツールが出来てセールスに教育する時、長谷川さんが良く言ってた事は、「お客の方が仕事を知っていて、それにパソコン使うのだから、こちらから教えてもらうという態度で接しなさい。」 という事でした。

前にも言ったけど長谷川さんは、聞いてる人が「な〜るほど」 と思うように巧く話すから、セールスにも説得力がありました。
後になって長谷川さんの話を直接聞いた事のないセールスが段々増えていったというのは、マイツールにとってボディブローとして効いてきた感じです。 病気になったから仕方ないけど、私などがマイツールコンセプトなんて100回話すより長谷川さんの1回の方が効果があったからね。

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